お子さんから「通信制高校に行きたい」と言われて、驚いたり不安になったりする親御さんは少なくありません。中学校で学校を休む日が続いている場合は、親御さんの方から調べ始めることもあるでしょう。
私は塾講師や家庭教師として、高校で授業についていけなくなった生徒さんや、様々な理由で学校に行けなくなった生徒さんを見てきました。その経験から、高校の選択肢は多い方がよいと考えています。ただ、通信制高校にも向き不向きはあります。
この記事では、全日制との違い、卒業後の進路、向いているタイプ・向いていないタイプ、入学後の進路変更をまとめます。
通信制高校は「特別な進路」ではなくなっている
通信制高校で学ぶ生徒さんは年々増えています。2026年度の学校基本調査(速報値)では、生徒数は11年連続で増加し、過去最多の31万1,792人でした。高校生全体の9.9%にあたり、約10人に1人が通信制で学んでいる計算です。
参考:大学ジャーナルオンライン「通信制高校の生徒数11年連続増加 2026年度学校基本調査速報値」
かつては働きながら学ぶ人の学校というイメージでしたが、今は不登校を経験した生徒さんのほか、スポーツや芸能の活動と両立したい生徒さん、自分のペースで学び直したい生徒さんなど、理由はさまざまです。卒業すれば、全日制と同じ高校卒業の資格が得られます。
全日制と通信制では、高校生活がどう違う?
全日制は、毎日決まった時間に登校して時間割どおりに授業を受け、学年ごとに単位を取って進級します。欠席が続くと留年することもありますが、部活動や文化祭、修学旅行など、友達と過ごす時間は多くなります。
一方、通信制は自宅での教材学習とレポート提出が中心で、そこに学校で授業を受けるスクーリングと単位認定の試験が加わります。学年ではなく単位を積み重ねる仕組みで、3年以上在籍して74単位以上取れば卒業できます。
た だし、登校の回数は学校やコースで大きく違います。年に数日の集中スクーリングだけの学校もあれば、週3〜5日通えるコースを設けている学校もあります。サポート校という塾のような施設でレポートの指導を受けるケースもあるので、「通信制=家で一人で勉強する」とは限りません。お子さんがどのくらい通いたいのかを考えながら調べましょう。
卒業後の進路は?大学進学と「進路未定」の割合
では、卒業後はどうなるのでしょうか。通信制高校から大学へ進学することはもちろんできます。2024年3月に卒業した生徒さんのうち、大学(学部)に進学したのは21.2%で、10年前の13.5%から大きく増えました。ただ、全日制・定時制高校などの卒業生の大学進学率は58.4%で、まだ差があります。
もうひとつ知っておきたいのは、同じ年の卒業生8万4,450人のうち、進学も就職もしていない人などが2万3,843人、約28%いることです。体調を整えることを優先している人や、アルバイトをしながら次の道を考えている人もいるため、一概に悪い結果とはいえません。ただ、全日制なら担任の先生や周りの友達に刺激されて進路を考え始める時期でも、通信制では本人が動かなければ何も決まらないまま卒業を迎えることがあります。
参考:リクルート進学総研「高校の通信制課程 その現状と卒業生の進路変化」(文部科学省「学校基本調査」をもとに作成)
大学進学を考えるなら、進学コースの有無や、総合型選抜などの指導を受けられるか、卒業生の進路実績を公開しているかを確かめましょう。
通信制高校に向いているタイプ
通信制高校に移って元気を取り戻した生徒さんには、共通点がありました。
ひとつは、全日制の毎日の登校や集団生活が負担だったお子さんです。不登校になった、人間関係や体調の問題で欠席が増えた、授業のペースについていけず自信をなくした、といったケースです。全日制では遅れを取り戻す前に先へ進んでしまいますが、通信制で学び直し、もう一度勉強に向き合えるようになった生徒さんもいました。
もうひとつは、高校の時間をやりたいことに使いたいお子さんです。スポーツで上を目指している、芸能や音楽の活動をしているといったお子さんは、毎日登校する全日制では練習や活動の時間が限られます。通信制なら学習時間を自分で調整して、夢に向けた活動に打ち込めます。
通信制高校に向いていないタイプ
反対に、入学後に「思っていたのと違った」と感じる生徒さんもいるでしょう。いちばん多いのは、自分で計画を立てて学習を進めるのが苦手なタイプです。毎日先生が授業をしてくれるわけではないので、締め切りを自分で管理しないと課題がたまり、単位を落としてしまいます。心配な場合は、登校日数の多いコースやサポート校など、毎日の生活に支えのある環境を選ぶと安心です。
また、部活動や文化祭、修学旅行などの行事を楽しみにしているお子さんには、全日制の方が合っていることがあります。行事のある通信制高校もありますが、全日制と同じ高校生活を期待すると物足りないかもしれません。
「全日制より楽そうだから」という理由だけで選ぶのも避けたいところです。登校日が少ない分、自分で学ぶ力が求められます。お子さん自身が「なぜ通信制を選ぶのか」を言葉にできるか、親子で話し合ってみてください。
入学したあとで、進路を変えることはできる?
入学してから「やっぱり全日制に行きたい」と思う場合もあるかもしれません。
別の通信制高校への移動は比較的しやすく、多くの学校が年度の途中でも転入を受け付け、取得済みの単位や在籍期間も引き継げます。
一方、通信制から全日制への転入は簡単ではありません。全日制は定員制で、空きがなければ難しく、公立では年度途中の転入枠が少ないのが実情です。自治体によっては、転入試験の受験資格を家族の転居で通学が難しくなった場合に限っているところもあります。全日制に移る可能性も残したいなら、全日制と通信制の両方を置き、同じ学校内で課程を変わる「転籍」ができる私立を候補に入れる方法もあります。
まずは資料を取り寄せて、いくつかの学校を比べてみる
通信制高校は、登校日数や学習の支援、学べる分野、費用が学校によって大きく違います。いくつかの資料を取り寄せて親子で比べると、お子さんに合う学校のイメージがつかみやすくなります。
株式会社イーパスが運営する「なるには進学サイト」の通信制高校特集では、パンフレットを無料で取り寄せられます。
中学卒業後の進学先を探すお子さんだけでなく、今の高校からの転校を考えているお子さんも使えます。資料を請求すると進路相談ができるLINEの案内も届き、学校選びの悩みを無料で相談できます。やりたいことがまだ決まっていないお子さんも、資料を見ながら相談すると方向が見えてくるかもしれません。
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まとめ
通信制高校は、今では高校生の約10人に1人が選ぶ進路です。毎日の登校が負担なお子さんや、夢に向けた活動に打ち込みたいお子さんには大切な選択肢ですが、自分で学習を進めるのが苦手なお子さんや、全日制のような学校生活を楽しみにしているお子さんには合わないこともあります。入学後に全日制へ移るのは難しいことも知ったうえで、お子さんと一緒に考えてみてください。


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